「莉子、危ない!」
「えっ?」
コンビニ前の交通量の多い道路は、この時間帯は通勤ラッシュでさらに混雑している。
その中の一台が、なぜか私の方へ向かって来るのが目に入った。
「キャー!」
響ちゃん、助けて!
私の記憶はそこで途切れた。
「莉子、莉子!」
誰かが私を呼んでいる。
ゆっくり目を開けると、目を真っ赤にした人が私の顔を覗き込んでいた。
煌々と私を照らす電気がまぶしくて不快なくらいだ。
「先生呼んで!」
そう叫んだその人は、ポロポロ涙を流し始めた。
「よかった、よかったわ……」
枕元のボタンを押して「先生を!」と叫んだもうひとりの人も、流れる涙を大きな手のひらで拭っている。
ねぇ。どうして、泣いているの?