あれから、響ちゃんの部屋で和代先輩を見かけることはなくなった。

だけど、相変わらずふたりは、朝、校門で待ち合わせをしているようだ。


「哲哉先輩がね……」

「莉子、明るくなったね」

「えっ?」


千春がニコニコしながら私の顔をじっと見つめる。


「あーっ、もう! ふたりとも幸せそう。私も彼氏欲しいよ」


芽衣が大きな溜息をつく。


「そのうちできるよ。芽衣、かわいいもん」

「なによ、その上から目線」


千春の言葉にふてくされた芽衣を私がクスクス笑うと、芽衣は「もー、ムカつく」と頬を膨らませる。


だけど、千春の言うとおり、響ちゃんと和代先輩の関係に嫉妬して、辛かっただけの頃とは変わった。

私にだって先輩がいる。
いつまでも振り向いてもらえない人に思いを抱き続けるのは苦しいだけだ。


だけど……。