先輩も私のために良かれと思って、そう言っただけだ。

私は気持ちを切り替えて、その後を楽しむことにした。


あっという間に時間が過ぎて、もう十七時近い。

「最後は、あれ」


先輩が指差したのは、観覧車。
千春が彼氏とのファーストキスを観覧車で済ませたと聞いていた私は、一瞬躊躇した。


「私、高いところ苦手で」

「大丈夫。俺が隣にいてあげるから」


少し強引な先輩に押し切られ、結局乗ることになってしまった。


「わっ、揺れてます」

「大丈夫だって。隣に行くから」


最初は正面に座っていた先輩が、怖がる私の隣に移動してきた。


「先輩、傾いちゃう」

「大丈夫だよ」


クスクス笑う先輩は、私の手を握った。