「了解です。先輩は食べ物の好き嫌いあるんですか?」
「俺はね……基本ないけど、ドライフルーツはちょっと苦手だなぁ」
私はそれを聞いて一瞬戸惑う。
響ちゃんも、ダメだからだ。
だけどすぐに笑顔を作り直して、「それじゃあ、レーズンはダメですね」と口にした。
私達の順番が来ると、先輩は私の手を引いて馬に座らせた。
そして……自分も隣の馬にまたがる。
「久しぶりだな、こんなの」
「ホントですね」
実に子供じみた遊びだったけど、それでも気分が高揚するのは、隣に先輩がいるからだ。
私は先輩が好き。
響ちゃんのことなんて、もうなんとも思ってない。
そう一生懸命自分に暗示をかける。
「さて、次は……」