次の日、約束の九時十分前に駅に着くと、先輩の姿がもうあった。
「おはよう、莉子」
彼はネイビーのポロシャツと、ワンウォッシュのジーンズ姿。
私服の先輩を見るのは初めてだ。
「おはようございます」
「莉子、かわいいじゃん」
初めてのデートは、精一杯オシャレしてきた。
白いレースのカットソーに淡いピンクのフレアスカート。首元にはビジューネックレス。
「えへへ。頑張りました」
先輩にもっと好かれたい。
やっと私の気持ちが前を向いてきた。
「どこに行きますか?」
「実は……じゃん」
先輩が遊園地の入場券を差し出す。
「わー、やった!」
「親がもらってきたんだ。莉子と行きたくて無理やり奪ってきた」
「いいの?」
「いいの、いいの。じゃ、行くよ」