「今日のジュースは?」
「待って、飲んでみる」
手を洗っている彼より先にテーブルについた私は、コップに並々と注がれた野菜ジュースを口にした。
「んー、バナナとニンジンはわかったけど……」
「まったく莉子は味覚音痴だな」と言いながら、響ちゃんもジュースを口に運んだ。
「あとは小松菜だろうな。この色を見てもわかんないのか」
ジュースは確かに緑色をしている。
「だって緑の野菜、色々あるじゃん」
不貞腐れたフリをした私は、向かいに座った響ちゃんが、大きな口でトーストをかじる姿をこっそり盗み見する。
あっという間に朝食を食べ終わった彼は皿をシンクに運ぶと、カバンを持ってさっさと出て行こうとする。
「ちょっと、待ってよ」
誰が起こしてあげたと思ってるのよ!