だげど、校門をくぐったとき、いつもの場所で和代先輩を見つけると、途端にテンションが下がる。
和代先輩は私を見つけると、ふっと笑った気がする。
その姿に“あなたの負け”と言われた気がして、唇を噛みしめた。
哲哉先輩と私の付き合いは、瞬く間に学校に広まった。
先輩のことを狙っていた女の子は皆、私に怒りの念を抱いているようだ。
ある日、二年の髪の長い先輩が教室に来て、私を呼んだ。
「あの先輩……平松先輩にアタックしてたって噂だよ。莉子、嫌な予感がするよ」
芽衣が私を止める。
「う、うん」
だけど、行かないわけにはいかない。
だって私は哲哉先輩の"彼女"だもの。
「とにかく、行ってくるよ」
私が教室を出ると、芽衣と千春が私の横をすり抜けて、どこかに向かったのが見えた。