次の朝、私はいつものように新山家に向かった。
シングルマザーとして頑張っているおばさんに、余計な心配をかけたくない。


「莉子ちゃん、おはよ。ジュース置いといたわよ」

「おはようございます。いただきます!」

「ごめんね。あと頼んでもいい?」


おばさんが私と交代で出勤していくのは、いつもの光景だ。

おばさんを見送ると……意を決して二階に向かう。
そして、響ちゃんの部屋の前で、立ち止まった。


「響ちゃん、朝だよ。私、先に行くから、起きてね」


ドアを開けることなく声をかけると、部屋の中で物音がした。
もう起きているのかもしれない。


私はそのままリビングに下り、おばさんの作ってくれたフレッシュジュースを口にする。

今日はなにが入っているんだろう。
一生懸命考えようとしたけれど、涙があふれてきて考えられない。