「明日は、ちゃんと起こせ」


どうして? そんな偉そうに。
和代先輩に起こしてもらえばいいじゃない!

私が返事に困っていると、口を開いたのは平松先輩だ。


「新山。莉子は俺の彼女になった。
お前達が幼馴染なのは噂で知ってる。
だけど、もう馴れ馴れしく話しかけるのはやめてくれ」


唇を噛みしめて、うつむく。

こんなに早く響ちゃんに知られるなんて。
しかも、最悪の状況だ。


「莉子。お前もだ。
新山を起こしにいくとか、やめてくれ。行くぞ」


私を呼び捨てにできるのは、響ちゃんだけだったのに。
平松先輩がまるで”俺のもの”と言わんばかりに私の名を口にする。


小さくうなずいた私が、一歩足を進める。
すると……。


「莉子」


今度は聞きなれた声が私を呼んだ。