覚悟を決めたはずなのに、心がざわつく。
「これからも一緒に帰れるときは、帰りたいと思って」
「はい」
まだ先輩とひとことを交わすだけで、どっと疲れる。
そのうちに慣れて、いつか響ちゃんと話すように……なれるのかな?
そんなことを考えながら下駄箱に向かうと……。
「莉子」
「……響、ちゃん」
思わぬ人が私を待っていた。
「お前、どうして今朝先に行った?」
響ちゃんはチラッと平松先輩のことを視界に入れてから口を開いた。
「それは……」
和代先輩とのキスを見たから――。
「響ちゃんが全然起きなくて、遅刻しそうだったんだもん」
だけど、そんなことを言えない私は、嘘をつく。