「だって、莉子……」


おそらく、朝、私が響ちゃんと登校しなかったことを知っている芽衣は、私達の間になにかあったことを感づいている。
その出来事のせいで、私が響ちゃんをあきらめるという選択をしたことも、わかったのだろう。


「莉子、やったじゃん!」


複雑な顔をしている芽衣とは対照的に、千春は素直に喜びをあらわにする。
叶わない恋に身を焦がすより、新しい恋をはじめなさいとずっと言ってたから。


「莉子、ホントにいいの?」

「うん、決めたの。芽衣、あんたも頑張りなさいよね」

「あはは、最後になっちゃった、私……」


心配そうな顔をしながらも、芽衣も最後には祝福してくれた。


「莉子、お迎えだよ?」


帰りのホームルームが終わると、ニコニコ千春が話しかけてきた。