「それから俺は、平松になることにした。
辛い病気を抱えたお前に、平松のことをどうしても伝えられなくて」


それはさっき聞いた通りだ。嘘をつくなんて!と腹を立てたけど、あの時平松先輩が私を見捨てたと知ったら、誰の言うことも信じられなくなっていたかもしれない。


「まわりの人に、なにも聞かないで協力してほしいと頼んだ。
だけど、阿部さんと島田さんは最後まで反対してた。
平松のことを、知ってたから」


千春と芽衣の顔を思い浮かべようとするけれど、やっぱりうまくいかない。

それでも彼女達は私と友達でいてくれる。


「だけど、莉子のためだからって話したら、渋々納得してくれた。
長瀬のおじさんもおばさんも、俺を信じてくれた」