「後悔ばかりだったよ。

和代といても、思い出すのは莉子のことばかり。
莉子が平松と付き合い始めたと知ったときは、ショックで……」


響ちゃんのズポンをギュッと握る。
私もひどい過ちをした。


「莉子がフェイスブラインドになって、平松が莉子の手を離すと聞いて、俺はもう間違えないって誓った」

「それじゃあ、事故の直後に、面会謝絶なのに毎日来てた男の子って、響ちゃん?」


彼は大きく頷いた。


「だから和代に別れを切り出したんだ。
辛い過去を恨むより、未来を見ようって。
莉子にそうしてほしかったから」

「響ちゃん……」


響ちゃんの言うことがよく理解できる。

起こってしまった事故に憤りを覚え、フェイスブラインドになってしまったことに、落胆した。
最初はただそれだけだった。


でも……響ちゃんのおかげで少しずつ未来が見えてきた。