この人の隣なら、きっと私は絶望したりなんてしない。
たとえ治療法が見つからなくても、幸せになれる。

もしも彼が私の隣を歩いてくれるなら、頼っても……いいの、かな……。


「響ちゃん……。明日また、名前聞いても、いい?」


震える声でそう聞くと、彼は腕の力を緩めて私の顔を覗き込んだ。


「俺は、響。莉子のことが好きな、新山響。
明日も明後日もその次の日も……毎日教えてやる。
だから、ずっと俺の隣にいてくれ」

「……うん」


やっとのことで微笑んでみせると、彼の大きな手が私の頬を包んだ。


「もう、泣くな」


響ちゃんだって真っ赤な目をしてるくせに。


「キス、できないだろ」

「えっ?」