「いいよ、それでも。
俺が絶対に忘れない。莉子がどこにいたって、必ず見つけ出す」


崩れた涙腺は、簡単には戻らない。


「私……あきらめても、いいの?」


「あぁ。莉子はよく頑張った。あとは俺に任せればいい」


響ちゃんはきっと重い荷物を半分背負ってくれるだろう。
だけど、本当にそれでいいの?


「脳外科医になるって言ったじゃないか。
きっと俺が莉子を治してやる」


やっぱり、そうなんだ。
彼は私のために脳外科を目指しているんだ。


今まで誰にも治療法が見つけられなかった病気だ。
だから簡単には治療できるようにはならないだろう。

だけど、それでも彼は本気で私を治そうとしてくれている。