言葉は続かなかった。
だけと、彼は私の言いたいことをわかってくれたはずだ。
骨が砕けそうになるほど強く、抱き寄せてくれたから。
「ホントは辛かった。
莉子が俺を平松だと思ってみせる笑顔を見るのも、次第に心を許してくれるようになったのがわかったのも。
何度も言いそうだった。『俺は響だ』って。
だけど、莉子が平松のことを本当に好きなんだと思ってたから……」
「響ちゃんのことが、好き、なの」
全然かみ合わない会話。
それでも心はつながっている。
「莉子……俺も好きだ。きっと、出会った瞬間から」
私だってそうだ。
友達がいなくて泣いていた私に差し出してくれたあの手の温もりは、幸せをくれた。
だけど……。