「和代は、親父の愛人の娘なんだ」
「えっ?」
響ちゃんの告白は、さらに私を驚かせた。
「和代の母親と俺の親父が、不倫してた。
和代は、俺と同じように幸せな家庭を、失った」
響ちゃんは「親父がバカなんだ」と唇を噛みしめる。
「和代も怒りをぶつけるところがなかったんだと思う。
最初は俺に突っかかって来た。
どうしたらいいんだと聞いたら、それなら私と付き合ってくれって。
私の傷を癒してくれって……。
同じ経験をした俺は、冷たくなんてできなかった」
響ちゃんの一言一言に息を呑む。
私の知らなかった現実が、ドンドン明かされていく。
「医者としての親父を尊敬してた。
だから親父のような医者になりたいと必死に勉強してきた。
だけど、あんな形で親父に裏切られて、もうなにもかもどうでもよくなった」