「その時決めたんだ。俺が平松の代わりをしようと。
フェイスブラインドという告知を受けたばかりでショックを受けている莉子に、本当のことなんて言えなかった。
平松が離れていったなんて知ったら、せっかく助かったのに、本当に死んじまうんじゃないかって、俺………」
響ちゃんの声が震えている。
泣いて、いるんだ。
確かに、告知を受け未来を悲観した私は、響ちゃんに『死んじゃいたい』と漏らしたこともあった。
だから響ちゃんは、私のために嘘を?
「莉子がいなくなるなんて、考えられなかった。
たとえ顔がわからなくたって、莉子は莉子だ。
俺がずっと、好きな……女だ」
今、なんて言ったの?
私のこと、好き?