「だけど、もうお前にこれ以上傷ついてほしくなかった。
フェイスブラインドなんていう病気を背負ったお前に、絶望なんて必要ないと、思った」


どういう、こと?


「病院にいる莉子に会いに行った次の日、俺は平松のところに行った。
これからも莉子を支えて欲しいと頭を下げに」

「えっ?」


一瞬涙が引っ込む。
そんなことを響ちゃんが?


「莉子が平松のことを好きなんだと思ったから。だから……」


違うの。
本当は、あなたのことを忘れたかっただけなの。


「だけどアイツは、もう莉子のそばにはいられないと、俺に言った。
自分の顔もわからない莉子と、付き合っていく自信がないって。
だから俺……ごめん。思わずアイツを殴っちまった」


響ちゃんのシャツをギュッと握る。

そんなことが、あったの?