それから少し黙って歩いた。

おそらく間違ってはいない自分の予想に、ドキドキしながら。


でも、どうして? 
どうしてこんなことを?


「先輩、ありがとうございました」

「おぉ、また明日な」


家の前で私の手を離した先輩は、にっこり笑うと駅の方へ歩いていく。
白い、エナメルバッグを持って。


家に入ると自分の部屋に駆け上がり、窓を開ける。
すると、先輩の後姿がまだ見えた。


響ちゃんの家の前を通り、その先の交差点を左に曲がったところで、私の視界から先輩は消える。

いつもはここまで見送ってリビングに戻るけど、私はそのまま窓の外を眺めていた。