空を見上げる先輩の横顔を見ながら、私は問いかけた。
「私、雨女って、言ったっけ?」
私のことを雨女だと言うのは……。
先輩の手に一瞬力がこもった。
「莉子がいつも言ってるだろ。大切な日は雨が降るって言ってたじゃん」
先輩の顔が笑ってない。
「でも、遊園地行ったときは、いい天気だったよね」
「そう、だったな」
「じゃあ、雨女じゃないか」なんてつぶやくけれど、先輩は私と視線を合わせない。
「観覧車、おもしろかったね」
「おぉ、遠くまで見えて、きれいだったな」
キスした事に少しも触れない。
照れ隠し、なのかもしれないけど。