「長瀬さん、満足?
響君の優しさをうまく利用して、振り向かせて。浅はかな、女」

「どういう……ことですか?」


響ちゃんの優しさを利用するって……一体なんの話?

確かに響ちゃんは、私の単位が不足しない様に、代わりのレポートを先生に頼んでくれたし、心のよりどころにはしてきた。

だけど、振り向かせてって、どういうこと?


「どういうことって……あなたが障害を武器に……」

「和代!」


そこに飛び込んできた人がいる。
背が高くて柔らかいくせ毛の……二年生の男子生徒だ。


哲哉先輩?と一瞬思ったけれど、先輩は和代先輩を呼び捨てになんかしない。
だとしたら……。


「莉子は関係ない。
こいつは不幸な事故に遭ったけど、前を見て歩いてる。
俺達だって、辛い過去を恨むより、未来を見ようって話したじゃないか!」