哲哉先輩は、相変わらず毎日迎えに来てくれる。
響ちゃんが私のことを見守ってくれているとわかったけれど、やっぱり一番近くで支えてくれるのは哲哉先輩だ。
「莉子、困ったことない?」
「うん。ありがとう。皆、優しくて……」
夏未先生の言っていた、『頑張る人の回りには、手伝ってくれる人が集まるようにできている』という言葉は本当だったと思う。
私が必死に頑張れば頑張るほど、差し伸べてくれる手も増えていく。
そして、少し落ち着きを取り戻したからか、笑える時間も増えていった。
理科室への移動は少し面倒だ。
特別棟にある理科室は、教室から一番遠い。
「莉子、行くよー」
いつものように千春と芽衣が私を誘導してくれる。