まだ幼稚園の頃。
私がこの家に引っ越してきて、友達もいなくてさみしく思っていたとき……響ちゃんは「僕の秘密基地。莉子には貸してあげる」と言って、おもちゃがいっぱい積み上げられたあの部屋に連れて行ってくれた。
いつしかおもちゃはなくなったけど……あれからずっと、私にとっては大切な、部屋だったのに。
響ちゃんが和代先輩のシャツのボタンに手を伸ばしている光景が、ふと頭に浮かんで消える。
「やめて!」
私は近くに転がっていたクッションを壁に思いっきり投げつけた。
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