「ねえ、千春……どうして校門、じゃないのかな」
私は千春の表情を見逃さない様に、じっと顔を見つめたまま尋ねた。
「……だからさ」
千春は一瞬私から視線をそらした。
「だから、平松先輩、恥ずかしいんだって。
わかってあげなよ。このーモテ女め」
再び私に視線を戻した後は、いつもの千春だった。
「ねぇ、芽衣」
私達の会話を聞いていた芽衣に今度は質問を投げかける。
「私……すごく大切なことを、間違えて、ない?」
「えっ……」
芽衣は明らかに視線を泳がせて、困惑した表情を浮かべている。
千春とは違って、表情に出るタイプだ。
「なにを間違えてるっていうのよ。
まったく莉子ったら、なんか変だよ?」
芽衣の代わりに口を開いたのは千春だ。
芽衣は千春の言葉に小さく頷くだけ。