「莉子、帰ろ」
「……うん」
ホームルームが終わると、千春が私の席までやって来た。
夏休み前は、帰りは芽衣と千春が家まで一緒に来てくれた。
それは、遅れていた私の勉強をフォローするために、その後我が家で一緒に宿題をしたからだ。
だけど、その必要がなくなった今、ふたりに家まで付き合わせるのは申し訳ないと思っていた。
「先輩からメール来てない?」
「えっと……」
カバンの中からスマホを取りだすと、【文房具屋で待ってる】とメールが入っている。
送ってくれるつもりなのだろう。
「文房具屋さんで待ってるって」
「やっぱり。平松先輩ホントに優しいね」
「うん」
だけど……。