「莉子、次の次」
「ありがと」
先生も心得ていて、「長瀬だぞ」と声をかけてくれる。
私がフェイスブラインドに慣れていくように、周りの人達も慣れていくのかもしれない。
申し訳ないけれど、とてもありがたい。
夏未先生が、先にカミングアウトしてしまえばいいと言っていた時、どうして他人と違うことを自分からわざわざ言わなくちゃいけないのかという反発心もあった。
だけど、夏休みの間に、カミングアウトしたって友達は離れていかないし、友達にとって私が顔を判別できないことは大した問題ではないこともわかった。
だからこうして、学校に来ることもできる。
井上先生の顔をチラッと見て考える。
休んでいる間の単位をレポートでカバーさせてほしいとお願いしてくれたのは、響ちゃんだ。
響ちゃんだって、私のことを心配してくれているはずだ。