「そんな……」


和代先輩と……キス、をしていた。


慌てて窓をぴしゃりと閉める。
ドキドキしだした心臓のあたりを押さえて、唖然と立ち尽くす。


ふたりは付き合っているのだ。
キス、くらい……当然だ。

一生懸命、自分にそう言い聞かせる。

だけど、勝手にあふれてきた涙が、床にポトリと落ちた。


もしかしたら、その先も?
よくない方向に思考が進む。

私が知らない響ちゃんを、和代先輩は知っているんだ。


ワナワナと座り込み、ギュッと手を握りしめる。


和代先輩への嫉妬の塊が、胸の中でどんどん大きくなっていく。
あの部屋には、響ちゃんとの思い出がいっぱい詰まっているのに。