千春が芽衣に向かってそう言うと、「まったくだよー」と芽衣も笑った。
なんだかぎこちなさを感じたものの、いつものようにふたりに両脇を挟まれる様にして学校を目指す。
「莉子のノートのおかげで、宿題ギリギリセーフだよ」
「哲哉先輩にもお礼言っときなよ」
「それは莉子からでいいじゃん」
ふたりと話すのはとても楽しかった。
夏休みの間、ショックな出来事もあった。
それでも、確実に少しずつ前進できている。
こうしてまた、学校に行きたいと思うのだから。
校門をくぐるとポツポツと雨が降ってきた。
「わー、ギリギリ到着だ。
式の時はいつも降るね。
誰か雨女なんじゃないの?」
芽衣がそう言うと千春が言い返す。