「じゃあ先輩もイモ、ね」
「おぉ、イモ上等!」
だけど実際、そのくらい開き直らなくては疲れてしまう。
「莉子ー」
文房具屋の前でふたりが手を振っている。
右が芽衣で左が千春だ。
ふたりしかいなければ、どっちかはわかるようになった。
「心配な時は、電話しろよ」
「うん」
哲哉先輩はそう言い残して、足早に去って行った。
「おはよ。どうして、待ち合わせ、ここになったの?」
先輩が去ったあと私がふたりに問いかけると、芽衣が一瞬顔をしかめる。
「あ、それはさー」
千春の言葉は一瞬途切れた。
「平松先輩、莉子とラブラブなところをクラスメイトに冷やかされるんだって。
それで照れくさいみたいよ。
私達だって、妬けるもんねー」