「哲哉先輩、おはよ」
「おはよ。行こうか」
差し出された大きな手を、もうなんのためらいもなく握れるようになった。
学校へ行く道は、響ちゃんと通っていた道とは少し違う。
ちょっと遠回りな気もするけど、こっちの方が他の生徒に会わないし、なにより事故現場のコンビニを見なくて済む。
きっとこれも先輩の心遣いだ。
「今日から、千春ちゃんと芽衣ちゃんに、文房具屋の角まで来てもらうことにしたよ」
先輩が突然そう言いだして驚いた。
今まで通りで、いいのに。
「……うん」
「始業式、疲れるかもしれないけど……みんなイモだと思えばいいから」
「イモって!」
先輩は茶化して言うけど、すごく心配してくれているのだろう。