先輩を好きになって、響ちゃんへの思いは薄らいできた。
だけど、幼馴染みとしての関係までもなくなってしまったことが、残念だ。
「冷たいじゃん。響ちゃん……」
私の方が彼を遠ざけたのだけど、きっぱり会いに来なくなった響ちゃんに、少しがっかりもしていたのは事実だ。
でも、幼馴染みだといっても元々男と女なのだから、互いに好きな人ができれば、そうなるのは時間の問題だったのかもしれない。
始業式の日も、先輩は迎えに来てくれた。
「おはようございます」
「おはよう。いつも悪いわね」
母もすっかり哲哉先輩に心を許している。
出勤時間が早くて会えない父も、母から先輩の話は聞いていて、すっかり公認の仲だ。