「そっかー。そうだよね。言いにくいよね……」
芽衣が苦い顔をして溜息をつく。
「でも私、今度会えたら、言おうと思う」
「莉子……」
「恥ずかしいことじゃ、ないもんね」
自分に言い聞かせるように口にすると、芽衣はにっこり笑って頷いた。
その日の晩、私は夢にメールをしたためた。
【夢、この間は久しぶりに会えてうれしかったよ。
だけと、ひとつ隠してたことがあるんだ。
私、事故に遭って脳が傷ついちゃって、顔が判別できなくなっちゃった。
フェイスブラインドっていうのになっちゃったんだ。
だから、本当は夢のこともわからなかった。
大事な友達なのに、ごめんね】
何度も送信ボタンに手をかけて、押すのをためらった。
だけど、夢ならきっと……理解してくれる。
そう信じて送信した。