愛……。
私には誰かを愛することも、嫌いになることもできるのに、顔を判断できないということが、こんなに足枷になるなんて。
「莉子は、俺を愛せない?」
「えっ?」
一瞬、呼吸が止まりそうになる。
愛せないわけがない。
ドンドン彼に惹かれていくばかりで……本当は彼がいない生活なんて、もう考えられない。
「俺は莉子を、愛する、よ。
いつか俺達に子供ができたら、もちろんその子を全力で愛するし、莉子への愛も変わらない。
簡単なこと、だ」
いつか夏未先生が言っていた。
『絶対に変わらないものだってあるのよ。親子の愛情とか、ね』と。
それって……哲哉先輩に対する私の愛も、先輩が私にくれる愛も、そうなの?