そのまま先輩についていくと、さっき見た水槽の前を通り過ぎる。
あれ、ここはさっき来たけど……。
「りこ! りこ、どこだ!」
その時遠くで『りこ』と呼んでいる声が聞こえてきた。
「りこ、返事しろ!」
周りの人達がざわめき始めた。
こんな大勢の人達の中で大声を出しているのだから当然だ。
同じ名前の子供が迷子になったのかな?と首を傾げたところでハッとする。
この人……。
確かにトップスは黒いけど、先輩はポロシャツじゃなくてシャツだったような……。
それにジーンズももっと色が薄かったかも……。
「あなた、誰?」
握られていた手を振りほどいてそう言うと、その人は笑った。
「誰って、君こそ名前は?」
「えっ?」