先輩はためらいながらも私の手を離した。


先輩がいなくなってしまうと途端にソワソワした。
あの大きな手がどれだけ私に安らぎを与えてくれていたのか、改めて知った。


だけど、楽しいことを探そうと考えた私は、イルカショーを楽しむことにした。
きっと大丈夫……だから。


「楽しそうだね」


しばらくして後ろから声をかけられた。
先輩が帰ってきたのだ。


「うん!」


私が笑顔でそう言った。


「ちょっと違うところも見に行かない?」

「えっ?」


まだショーは途中なのに……。


「行こうよ。ほら」

「……うん」


強めの口調で促され少し戸惑ったものの、なにかすごいものを見つけたに違いないと思った私は、立ち上がって差し出された手を握った。