「莉子……やっぱり響先輩?」


今度は真剣な顔つきで尋ねる千春に、すぐに返事ができない。

響ちゃんには、きれいな彼女がいるのに。
そんなこと、私が一番知ってるのに……。


「んー、どうかな。わかんないよ」


どれだけ響ちゃんのことを思っても、叶わないのはよくわかっているのに……。


帰りのホームルームが終わると、響ちゃんが校門に向かうのが窓から見えた。
もちろん、和代先輩も一緒だ。


また、部活行かないのか……。

響ちゃんは両親が離婚してからほとんど部活には顔を出さなくなってしまった。
汗をかきながら必死にトレーニングを積んでいる姿は、ホントにかっこよかったのに。


部活に入っていない私は、いつものように芽衣と千春と学校を出た。
そして、帰り道に立ち寄ったハンバーガーショップでコーヒームースを口にする。