少し休憩した後、目的地の水族館を再び目指した。

汗をかきながらも、私の手を離さない哲哉先輩に励まされながら。


大丈夫。
きっと知り合いには会わない。

会ったとしても『顔がわかりません』って正直に話せばいい。

そう心の中で何度も何度も自分に言い聞かせた。


無事に水族館についても、いっそう人ごみがひどくなっただけだ。

だけど、大きな水槽をたくさんの魚が群れになって泳いでいるのを見た私は、その美しさに気持ちが高揚していた。


「キャー! 群れがついてくる」

「偶然だから」


クスクス笑う先輩も、楽しそうだ。


「わっ、なんか大きいの来た!」


こんなにはしゃいだのは、事故に遭ってから初めてだ。


「それ、サメだな。成長すると4メートルにもなるってさ。まだ小さい方なのかな」


先輩が説明書きを読んで教えてくれる。