「疲れただろ? ジュース飲もうか」
二回目の乗り継ぎの駅で、彼は私を駅から出してくれた。
水族館近くの駅までの切符を買ってあったというのに。
「ごめんなさい」
「そんなこと気にするな。それよりジュース、なにがいい?」
目の前にクーラーの効いたファーストフード店があった。
それなのに、木陰のベンチを選んでくれたのは、私が人ごみに疲れてしまったことがわかっているからだ。
「私……お茶で」
「俺はコーラにしよ」
二人分を買ってくれた先輩は、冷たいペットボトルを私の頬にくっつけた。
「キャー、冷たい」
「あはは」
彼はこんな私といて楽しいのだろうか。
自分の顔もわかってくれない。
常に私の不安を感じとって動かなくてはならない。
そんな彼女……面倒なだけだ。