その日の朝、なんとなくそんなことを考えながら、自分の部屋から外を眺めていると、家の前の道をランニングしていた男の人が、新山家に入って行った。
「響ちゃん?」
もしかして……また走り始めたのかも。
一気にテンションが上がる。
陸上に力を注いでいた頃は、毎朝走っていたから。
もしかしたら、勉強も?
大切な人が、元気を取り戻したのだと知って、笑みがこぼれる。
よかった……よかったよ、響ちゃん。
医師に向けた勉強をしているかどうかまではわからないけど、お父さんのことがあってから沈んでいた響ちゃんが、ひとつの困難を乗り越えた気がした。
和代先輩……のおかげなのかな。
たとえ和代先輩のおかげでも、この際構わない。
響ちゃんがもとのように元気で暮らしてくれれば。