「莉子?」
ショッピングセンターを足早に出ると、先輩が眉間にシワを寄せて私の顔を覗き込む。
「ごめんなさい、私……」
どうしても溢れてしまう涙を懸命に手で拭っていると、先輩が私の頬に触れた。
「ごめんな。
俺……きちんとわかってあげられなくて」
そんなことはない。
哲哉先輩が私の状態を理解してくれようとしていることは一目瞭然だし、同じように心を痛めてくれているのはわかっている。
「ううん。私、頑張らなくちゃ、ね」
泣いてばかりではなにも変えられない。
もっともっと努力しなくちゃ。
「莉子は頑張りすぎだよ。
もう十分頑張れているんだから、心配いらない」
「先輩……」
そっと頭を撫でてくれる先輩は、どうしてこんなに優しいのだろう。
やっぱりフェイスブラインドを告白できなかった。
"普通"じゃないって、キツイ。
「さ、帰って勉強するぞ」
「うん」
先輩がいなければ、私は今頃どうなっていただろう。