「莉子の友達、かな?」
私の代わりに口を開いたのは先輩だ。
「はい。中学の時のクラスメイトです」
誰?
こんなに親しげに話しかけてくるのだから、仲がよかったに違いない。
だけど、わからない。
「お名前、聞いてもいい?」
「はい。吉富(よしとみ)です」
「夢(ゆめ)?」
哲哉先輩が聞いてくれたおかげで、その人が誰かわかった。
「そうだよー。忘れたの?」
「忘れるわけないじゃん。夢とは三年間、一緒だったんだから」
夢と芽衣と私は、いつも一緒にいた。
今でも時々メールはするけれど、別の高校に行ってしまったから、こうして会うのは久しぶりだ。
彼女との思い出を忘れるわけない。
大切な友達だから。
それなのに……顔がわからないのだ。