先輩が差し出したのは、コンビニの袋。
中にはかき氷が入っていた。
「アイス……」
「どうした? 嫌い、じゃないよな」
確か、母はショッピングセンターにアイスクリームショップができたと言っていた。
「先輩。私……」
「ん?」
「お母さんにひどいこと、言っちゃった」
朝の出来事をポツポツと先輩に告白すると、「大丈夫だ」と彼は私を抱き寄せた。
ドクンドクンと心臓が高鳴る。
こんなに近づいたのは、観覧車でのキスの時以来だ。
「莉子のどうしようもない憤りは、お母さんに伝わってるよ。
それに、莉子が今、反省していることだって」
「ホントに?」
そうつぶやくと、彼は「当たり前じゃん」と笑って私を離した。