泣きながら食べた冷やし中華は、少ししょっぱかった。
朝はいつもパンなのに、食欲のない私を心配して作ってくれたのだと思う。


お昼を過ぎたころ、哲哉先輩が私の家を訪ねてきてくれた。


「莉子。哲哉だよ」


トレードマークの白いエナメルバッグのおかげで、私服でも先輩だとわかるようになった。
今日はグレーのTシャツとジーンズ姿だ。

リビングのソファに案内すると、私も隣に座った。


「お昼食べた?」

「朝、冷やし中華食べ過ぎちゃったから」


私は首を横に振った。


「冷やし中華、いいなぁ。
俺、トマトと焼き豚入れるのが好きなんだよな」

「トマト入れるの? 私は卵が一番好き!」


テンションをあげようと一生懸命だった。
だけど、そんなの長くは続かない。


「アイスは食べられる? 差し入れ持ってきた」