「ごめん……お母さん、無神経だったね」
申し訳なさそうにする母にまで腹が立つ。
「なんで、謝るのよ! 全部、私が悪いの!」
私がフェイスブラインドになったから、父や母はこんなにも暮らしにくい生活を強いられているのだ。
「違うよ、莉子!」
母の声を背中越しに聞きながら、階段を駆け上がって自分の部屋に飛び込んだ。
私……性格までブスになっちゃった……。
涙が一気に溢れてきて止まらない。
こんなはずじゃなかった。
受験の終わった今年は、友達と海やプールに行ってはしゃぐ予定だった。
それなのに……もう高校一年の夏は二度とないのに……。
私は焦っていた。
しばらくベッドで放心していると、玄関のドアが閉まる音がした。