「医者ってさ、やっぱり勉強も臨床も大変なのよ。

医学部入るのだって大変だし、その後の勉強だって、ちっともサボれない。
それにやっと研修医になっても当直だらけだし、ね。

だけど、私の場合は旦那様と一緒に頑張ったの。
疲れすぎてイライラして、ケンカしたこともたくさんあったわ」


先生は視線を宙に舞わせて、なにかを思い出しているようだ。


「響君がもし本当に医師になりたいなら、きっと莉子ちゃんの頑張る姿が支えになるはずだよ」


そうなのだろうか……。
もしそれで響ちゃんがやる気を取り戻してくれるなら、うれしいけれど。


「看護師に、なれるでしょうか」


夏未先生は私の問いかけに答える代わりに、大きく頷いて笑ってみせた。