「莉子ちゃん、どうして看護師になりたいと思ったの?」
「隣の家のおばさんが看護師さんで……」
その時、響ちゃんのことが頭に浮かんだ。
残念ながら、顔は浮かばなかったけど。
本当はおばさんが看護師さんだったからじゃない。
響ちゃんが医者を目指していたからだ。
私は……彼の隣で働く自分を思い描いていたのだ。
「違うや。私の大切な人が、お医者さんを目指していたから、かも」
夏未先生には、洗いざらい話せてしまう。
私は初めて、本心を口にした。
「“大切な人”ってなんかいいね。
もしかして、あの幼馴染みさんかな?」
ドクンと心臓が跳ねた。
さすが心療内科医というべきか、夏未先生が特別すごいのか……。