「そりゃそうよ。
フェイスブラインドは、周りの人は、“なんだそんなことか”程度なんだけど、本人は相当辛いもの。
よく頑張ったわよ」
夏未先生は、外来のカウンセリングの時は白衣は着用しないらしい。
白いシャツとネイビーのフレアスカートは、凛々しさを感じる。
それに、私服の方が威圧感がないというのは、うなずける。
「皆が手伝ってくれて……本当に助かりました」
「うんうん。莉子ちゃんの周りは素敵な人がいっぱいね。
私も安心していられる」
「でも……」
周りの皆に助けられたのは事実だ。
だけど、やっぱり不安は隠せない。
「どうしたの?」
「私……看護師さんになりたかったのに……」