こうやって、少しずつ進めばいいのかな。

今日一日でなにもかも取り戻さないと、と焦りすぎていた私は、ホッと胸を撫で下ろした。

お昼にお弁当を食べてしまうと、千春と芽衣が私を教室から連れ出した。


「平松先輩が、昼休みは中庭にいるって言ってたよ」

「先輩が?」

「うんうん。
なんでもね、ずっと教室だと緊張が続きすぎて辛いだろうから、莉子を連れ出してほしいってさ。
なんか、幸せそうでムカつく」


芽衣が頬を膨らませると、千春が笑う。


「あはは。ムカつくって……芽衣も彼氏つくりなよ。ねぇ、莉子」


ふたりはやっぱり私を挟むようにして、中庭に連れていってくれた。


「掃除さぼっちゃないよ。終わるころ、迎えに来るね」


千春は私の耳元で囁いて、手を放した。