だって、こんなのあまりにひどすぎる。
私だって、なりたくてフェイスブラインドになったわけじゃないの!
「長瀬。遅れるぞ」
その時、怒りに震える私に声をかけてきたのは……。
「松下だ」
朝も助けてくれた学級委員の松下君だ。
自分のカードを私に見せるように持ち上げてみせる。
「あんなヤツら、放っておけ。
あんなに性格ブスじゃ、彼氏だってできないさ」
相手は先輩なのに、大きな声で言い放った松下君が、カッコいい。
「やべー。歌のテストできる気がしねぇ。お前ら平気か?」
ニコッと笑った松下君は、さりげなく私達の後ろに立ち、ガードするように一緒に歩いてくれた。
「ありがと、松下君」
音楽室にたどり着くと、私は頭を下げた。